冷え症について

和田堀診療所 樫尾昭彦先生

 

「冷え」は、特に冬には多くの人が悩まされる症状ではないでしょうか。

冷えの定義は、「身体のある部位のみを特に冷たく感じ、耐え難い場合」を指すと言われています。

冷えを感じる部位は、腰や手足の先が多いとされています。

冷えの原因として、血流の障害(動脈硬化や膠原病、静脈瘤など)や甲状腺の病気、貧血、低血圧などでも起こります。 上記の何か原因となる病気があればその治療が検討されますが、そのような病気がなくても冷えを自覚することも多く、その場合は温める以外、西洋医学では確立された有効な治療はまだありません。

このような西洋医学で治療可能な病気がない場合は、身体を冷やさないように生活習慣を見直すと同時に、治療薬としては、漢方の出番です。

漢方(東洋医学)では「冷え」は、体温に関係なく冷えを自覚する場合を指し、漢方を選ぶうえで、「冷え」の有無は、重要な症状の一つです。

例えば、凍瘡(しもやけ)には、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう:38番)、下肢の冷えには八味地黄丸(はちみじおうがん:7番)や牛車腎気丸(ごしゃじんきがん:107番)、生理痛や浮腫みを伴う場合には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん:23番)が適応になります。

また、本来人間は、上半身よりも下半身が温かい「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」が理想とされていますが、逆に、「冷えのぼせ」や「上熱下寒(じょうねつげかん)」と言われるような、下半身が冷えて上半身(特に肩から上)にかーっと熱く感じるような症状があります。そのような症状を和らげるのが、加味逍遥散(かみしょうようさん:24番)です。その他にも、花粉症に処方する小青竜湯(しょうせいりゅうとう:19番)も身体を温めますし、風邪薬で有名な葛根湯(かっこんとう:1番)を飲んでいると、例年感じていた冬の冷えが緩和されることがあるなど、漢方薬には、西洋薬には見られない、身体を温める作用のある薬がいくつもあります。

どの処方も、2週間から3、4週間で冷えの改善もしくは冷えによる症状の改善を認めれば、診察や採血で副作用がないか確認しつつ、内服継続が可能です。

今年の冬は、なかなか改善しない冷えの症状には、漢方薬もお勧めします。

※文中の漢方薬の番号は、処方に記載されているメーカー共通の番号です。

日焼けに注意しましょう

上井草診療所 医師 安来志保

 

日光は生物にとって生きていくためになくてはならないものですが、その反面、皮膚に対して様々な有害作用ももたらします。これから気候が良くなり、屋外での活動も増えてくる時期ですので、正しい紫外線についての知識を得て、太陽とどう付き合うかを考えてみてください。

【紫外線の種類】

紫外線(Ultraviolet UV)は、生物に与える影響をもとに波長の長いほうからUVA、UVB、UVCに分けられています。波長が短いほど障害性が強く、UVCは殺菌灯などに使われていますが、幸い地球を取り巻くオゾン層により吸収され、結局地表に届く紫外線は少量のUVBと大量のUVAです。

【日焼け(サンバーン)はどうして起こるのでしょうか?】

紫外線により皮膚が赤くなる「サンバーン」は紫外線による皮膚のやけどであり、その主役はUVBです。細胞のDNAに吸収されたUVBはDNAに直接傷をつけますが、細胞にはその傷を自分で取り除く修復能をもっています。その修復の際に細胞から多数の炎症惹起因子が放出されるため、皮膚が痛みを伴って赤くはれ上がり、1週間ほどたつと死んだ皮膚が薄い膜上になって剥がれ落ちます。

【光線防御のポイントは?】

小麦色の肌を求めて海岸で体を焼くというような、不必要な日光浴は避けるべきでしょう。日傘、広いつばが全周にある帽子、長袖、長ズボンなどにより、皮膚に到達する紫外線をできるだけ減らすことが第一です。そして皮膚には日焼け止め(サンスクリーン)を塗ります。サンスクリーンに含まれる主要成分として紫外線吸収剤と散乱剤があります。吸収剤はまれにかぶれを起こすことがあるのでかゆみや赤みが生じたらノンケミカル、とか吸収剤未使用などと表示されている散乱剤だけの製品がよいでしょう。

 ~タバコが子供に与える影響と新しい概念「三次喫煙」~

上井草診療所 後藤郁美

 

今回は子育てをしている私の視点から、子育ては遠い昔に卒業したかもしれない、人生の先輩たちにも知ってもらいたいことについて話させていただきたいと思います。

みなさん、タバコは身体に悪いこと、副流煙がタバコを吸っている本人よりも周りへの悪影響のほうが大きいことはご存知かと思いますが、改めて子供へのタバコの害について簡単にご説明させてください。

妊婦さんとおなかの赤ちゃんへの害としては、タバコの煙を吸うと赤ちゃんに繋がる胎盤の血流が悪くなり、赤ちゃんは酸欠状態になることで、流産・早産の危険、体の小さい赤ちゃんが生まれる危険性が上がると言われています。生まれてきた赤ちゃんは乳幼児突然死症候群(原因不明で突然死してしまう)の危険が高くなるとも言われています。小さなお子さんでは、「喘息」「中耳炎」になりやすい、身長や脳の発達にも影響すると言われ、周りでタバコを吸う人がいる環境は将来の喫煙率を上げるとの報告もあります。

そして最近は、「三次喫煙」が注目される様になりました。これは厚生労働省では「残留たばこ煙」と表現しているもので、喫煙後の煙が、カーペットや衣服・家具に染み付き、空気に反応して発がん物質が作られ、その危険にさらされることいいます。これは換気でも除去できず、床を這ったり、衣服や家具などわからず舐めてしまう小さなお子さんに、特に危害を引き起こすと考えられています。喫煙時着ていた服のままお孫さん・曾孫さんを抱っこする場合、お子さんは髪の毛や服に染み付いた臭いをかぎますし、指を舐めてくることもあるかもしれません。そんな時、知らないうちに健康を害してしまう可能性があります。実際の危害の大きさについてはまだ研究が必要な分野ですが、その子の将来にどれだけの悪影響を与えるか、タバコの問題は個人の問題に留まらないことを再確認していただき、周りの方にも伝えていただけたら嬉しいです。